バイオマス燃焼の科学について、灰の融解(コーキング)パラメータほど複雑なものはない。コーキング特性が良好な場合、灰は灰のままであり、唯一の課題は、灰が蓄積することによって燃焼システムから過剰に除去されないようにすること。逆に、灰の融着特性が良くない場合、不思議なことが起こるー灰が固まりになって、灰皿から割ったり、ノミで削ったりする必要になる。やがて灰は溶けたガラスまたはハチの巣のようなレンガ状になる。工業用バーナーにたまっら、このような灰の状態をコーキング、スラグと呼びます。呼び方はどうであれ、見た目はどうであれ、融点の仕業に過ぎないから、比較的に簡単なことなのだ。
まず、「きれいな」灰(土、岩、未燃炭素などがない)は、主に無機酸化物の組み合わせであると判断しましょう。バイオマスを燃やすと、有機物(基本的に炭素、水素、窒素、酸素のすべて)が放出されて、酸化された形で残された無機鉱物が灰と見なす。検出の結果、バイオマス灰の主成分は、カルシウム、二酸化ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、マンガン、ナトリウム、鉄、リン、その他の鉱物性酸化物であることがわかった。これらの酸化鉱物はそれぞれ固体として存在し、他の固体と同様に融点が存在する。存在する様々な鉱物酸化物の融点の範囲は広く、高温で発生する灰の総融点はすべての鉱物成分と化学的相互作用の仕業だ。その結果、灰は通常特定の温度ではなく、ある温度範囲内で溶ける。その範囲は、低くて50℃で高くて100℃になる。灰の溶融試験結果を見るときに、温度範囲として報告されているのはこのためです(例えば、変形温度=1310℃、半球温度=1330℃、流動温度=1350℃など)。この場合、灰が溶けるのは40℃のときだ。
変形温度(DT)は、灰が最初に溶けて「粘着性」になり始める温度であるため、灰溶融試験における重要なパラメータであると考えられている。粘着性のある灰は、燃焼システムのほぼすべての表面に蓄積され、断熱効果をもたらし、結果として燃焼システム全体の温度を上昇させることになる。
温度が高くなると、より溶融しやすくなる。このプロセスは、灰が流動性を持ち、本質的にスラグになるまで続く。興味深いことに、スラグの性質から分かることがある。灰が塊であれば、まだ手で割ることができる。本物のガラスが見つかったら、灰は完全に溶けている。一片のコーキングは、通常その中間に落ちる。灰の融解(コーキング)を防ぐには、燃焼システムの温度を灰のDTより低く保つことがポイント。ほとんどのバイオマス燃焼システムは1200℃以下で運転されるため、燃料は通常この温度以上のDTを確認することで評価される。幸いなことに、「きれいな」木材(樹皮、砂、土、その他の破片がない)については、基本的にコーキングは問題にならない。灰と木質バイオマスの融合は、ほとんどの場合、何らかの形で原料に関連している。他の形態のバイオマス(ナッツの殻、農作物の草、エネルギー作物など)については同じことは言えない。これらの原料は灰分が多いことが多く、低DTの可能性を高める。つまり、灰分が多いだけでは、特定の形態のバイオマスの灰の融解(コーキング)問題を予測することはできないのである。灰の鉱物組成の性質がその要因である。例えば、灰のカルシウム含有量が高い場合、灰の溶融温度は通常高い。灰の溶融問題は、シリカの含有量が多い場合に発生しやすくなるが、常に発生するわけではない。シリカの面白いところは、シリカの形をしていれば、実際の溶融温度は非常に高い(1710℃)ということ。しかし、シリカは炭素と同じように4つの活性電子を持っているため、他の鉱物と結合することができ、融点の低い複雑なシリケートになることが多い。このため、コーキングの問題を見ると、9割がシリカに関係していると言われている。温度が上昇すると問題となる鉱物は他にもある。コーキングを複雑にする要因は他にもたくさんある。燃焼システムは、酸素が豊富な場合と少ない場合があり、融点条件を変化させることができる。バイオマスは、肥料や塩分など目に見えない物質で汚染されていることがあるが、これは不衛生な輸送システムを使用したことが原因であることが多い。汚染物質はいつも断続的に変化するため、次のバッチの燃料を検査しても、前のバッチのコーキング問題の原因究明に役立つとは限らない。以上の原則を理解すれば、粒子コーキングの問題に対して処理できる可能性が高くなる。